2023/10/31

RK01コネクタ

JAE&Xenoma社~スマートテキスタイルコネクタ開発の舞台裏に迫る

東京大学発スタートアップのXenoma(ゼノマ、東京都大田区)は、衣服にセンサを埋め込んだウエアラブルデバイスなどを手掛けておられます。その一環で、電気で筋肉を刺激して運動効果を高めるスーツの開発を計画。当社が協力してコネクタを開発し、製品化を実現しました。その取り組みを、Xenomaの中島正雄様(Co-Founder&CPO)と、当社のコネクタ事業部・松永章宏で振り返り、今後を展望しました。

展示会での出会いから お互いに「最適パートナー」

松永: 始まりは海外展示会でのお話からでしたね。導電性繊維などを使用したスマートテキスタイルを使うスマート衣料は、スマートウォッチなどでは難しいセンシングなど、より高度なセンシングやアプリケーションを実装することができ今後、予防医療分野を中心に市場が一段と拡大するとみています。私たちはスマートテキスタイルへの取り組みを2016年ごろから開始しており、御社のことはメディアを通して知っていましたが、協業は御社の出展ブースでお話をしたのがきっかけでした。

RK01コネクタ

コネクタ事業部 製品開発部 松永章宏

RK01コネクタ

株式会社Xenoma Co-Founder & CPO 中島正雄様

中島Co-Founder&CPO様(以下、中島)

私たちは、東京大学で研究開発した伸縮配線を用いたスマートアパレル製品を展開していて、電気刺激を与えられるEMSスーツの製品化を検討していました。ただ、これを実現するには、伸縮配線に対して、安全・安定した接続ができる接続信頼性が求められ、家庭での洗濯などにも耐えられる堅ろうなコネクタが不可欠でした。通電するので、万が一の事故があってもいけない。これを内製するのは厳しいので、パートナーを探す中で、航空電子さんが最適と考えました。

スピード感重視 毎週のミーティング

松永:当社はおかげ様でコネクタの定評をいただいていますが、丸洗いできるというものを今まで量産化したことはなかった。しかも、お話をいただいたのが2019年の春ごろで、年末までに開発を済ませて販売したいということで、そのスピード感に驚きました。

中島:私も起業前はいわゆる大企業にいたので、製品開発プロセスで時間が掛かる事は理解しています。そこを迅速に対応していただいてありがたかった。家庭で洗濯するということは、洗濯槽の中で強く引っ張られたり、ぶつかり合ったりすることで強い外力が加わるうえに水、洗剤、また繊維くずやごみ、いろんな夾雑物にもさらされる。それに耐えられて伸縮配線との接続も劣化しないという、難しい条件をお願いしました。

RK01コネクタ

松永:毎週のように会議をして試作品をお見せして、改良をしていきましたね。最終的に組み付けるのはアパレル工場のラインの方なので、そこで扱っていただきやすいアパレルフレンドリーな製品にしないといけない。当社の試験ラインにも足を運んで頂いて組立工程についても提案をさせて頂きながら試作を重ねました。また、カスタム部品となる樹脂部品は金型を作っている時間がないので、切削サンプルを制作して双方間で評価しながら仕様調整しましたね。

 

試行錯誤の末、スマートテキスタイル向けで、洗濯に対応したコネクタ「RK01シリーズ」として量産化できました。

「RK01シリーズ動画」

中島:当社に来ていただいたり、航空電子さんに伺ったり。毎週、ひざ詰めで話をしましたよね。専任チームもつくってくださって。構造など様々な工夫をしてくれました。

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