環境報告書2017

持続可能な社会の形成に向けて 社長 小野原 勉

環境経営について

 今日のニュースの中で熱波の発生、豪雨、豪雪など異常気象の激化とそれらに伴う山火事、洪水といった生態系破壊など、環境リスクの増大を感じない日はないと言っても過言ではなくなってきています。
 このようなリスクにも立ち向かうべく、ここ2年間において国連の掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」の発効、「パリ協定」の締結や「欧州RoHS指令」の改正など世界的な動きが活発化しており、より一層の気候変動への対応を図るとともに、自然環境と生物多様性の尊重に身を引き締めるところです。
 私たち航空電子グループは地球環境に恩恵を受ける一企業市民として、企業活動で発生する環境への負荷を低減するとともに、お客様の環境関連ビジネスに貢献する商品をお届けすることで、豊かで持続可能な社会の実現に取り組んで行きたいと考えています。

社長 小野原 勉

環境活動への取組について

 環境管理活動では企業の社会的責任(CSR)の中で、関連する法令等を順守し、事業活動から生じる環境への影響を十分に認識の上、絶対に公害を出さないという基本的な取り組みはもとより、地球温暖化対策や生物多様性の保全など自然界全体の環境課題の解決にどのように応えて行くかを問われています。私たち航空電子グループは、これらの課題を環境方針で明確にして活動を推進しています。
 地球温暖化対策ではエネルギーの使用が大きく影響します。当社の事業活動におけるこれまでの取り組みとして、新設工場でのLED照明導入や効率的な空調設備の採用、既設工場における省エネ型設備への転換や照明、誘導灯のLED化など着実な施策にも努めました。更に、ものづくり工程の効率向上や断熱対策、共同集配やモーダルシフトを拡大することで、生産から物流に至るエネルギー使用の効率化を図ってきました。
 その他の環境活動では、法規制の順守徹底、グリーン調達の推進、環境配慮型の商品設計、化学物質・素材及び廃棄物の削減など網羅的に取り組み、総合的な環境負荷低減に努めています。
 トピックスとして、グリーン調達並びに水資源管理の状況をお話ししたいと思います。グリーン調達では人と環境にやさしいものづくりのために、これまでRoHS指令やREACH規則などに基づいて製品設計の段階から有害化学物質の少ない材料・部品を選定し、調達する活動に取り組んできました。このような中、欧州RoHS指令にて2015年6月に4種のフタル酸エステル類が制限対象物質に追加され、2019年7月22日から適用されることとなりました。航空電子グループにおいては、これらの追加物質が幾つかの製品材料や設備材料に含有されていることから、お取引先様と一体となって材料、設備、工程とそれらの管理方法について見直しを進め、2018年4月から対応を開始するように推進しています。
 水資源について、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」ではその6番に「持続的な水の確保と管理」が掲げられていることを再認識し、生産拠点の水リスク評価を行いました。特に「仮想水の問題」を抱える日本の生産拠点として、持続的な水の確保を目指した取り組みを開始しました。
 こうした環境活動のマネジメントの規格が2015年に改訂され、そのポイントの一つとして生物多様性及び生態系の保護を含むよう環境保護の概念が拡張されました。環境経営のシンボルとして2004年に開設した「航空電子グループの森」は、カーボンニュートラルな社会(二酸化炭素の排出と吸収の均衡)につながる森林による二酸化炭素吸収源、昭島事業所が恩恵に与る地下水の涵養源といった里山と位置付けられます。航空電子グループの森における森林保全活動を行うという体験型学習を通して、社員の環境意識の醸成を図っており、今後も航空電子の環境活動の拠り所として育んで行きたいと思います。
 航空電子グループは、環境に優しいものづくりを実践することで、企業活動と環境保護の両立を図ってまいります。
 今後とも皆様のご支援、ご理解をお願い申し上げます。

社長 小野原 勉