2022/03/04
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I/Oコネクタ
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基板対ケーブルコネクタ
産業用機械に対応した、信頼性の高いUSBコネクタを採用したい…
背景
産業用機械の制御や設定、メンテナンスのために接続するPCのUSB端子がUSB Type-C®に切り換わっていることから、Q社で開発中の産業用ロボットコントローラのI/OにもUSB Type-Cを採用することが決定した。
設計部の担当者は、試作までに条件の合うコネクタを見つけなければならないが、必須条件が多く選定は難航が予想された。
課題
条件に合うUSBコネクタが無いうえに、新しいサプライヤーも見つからず…
産業用ロボットは、長時間、長期間に渡って動き続け、休むことなく生産を行います。このような使用環境から、定期的な保守・メンテナンスが必要です。 また、ロボットが止まった際の機会損失を考えると、使用するコネクタは信頼性がなによりも大事です。 更に、これと匹敵するほど重要な事は、産業用機械は耐用年数が長いため、採用する部品を生産するサプライヤーは、長期にわたり供給やサポートを維持できること。 万が一不具合が発生した際には、修理や原因究明などにスピーディーに対応できる体制を持っていることです。 つまり、採用するコネクタを選定する以上に、サプライヤーを選定する事は非常に難しいのです。
この案件を担当する設計部のK氏は、こう振り返ります。
「短いサイクルで入れ替わる民生品とは異なり、長期のサポートが必須です。安心・安全に運用するためには、少なくとも5年~10年の保守・メンテナンスサービス体制が整っている必要があります。一方で、倒産や事業撤退の恐れがないメーカーであることも見極めなければなりません。不具合が起こらないよう、徹底した品質管理や安定供給の体制も必須と、とにかく条件が多く、最適なものが見つかるか不安でした。」
付き合いのあるサプライヤーでもUSB Type-Cコネクタの取り扱いはありましたが、バリエーションが少なく、条件に合致したコネクタを選定することはできませんでした。
K氏は新規のサプライヤーを探すことにしましたが、USB Type-Cコネクタの取り扱いがあっても、産業用機械への採用・運用実績を持つメーカーは少なく、条件を満たすコネクタは見つかりません。
開発スケジュールがタイトな中、K氏は頭を抱えてしまいました。
解決
信頼と実績のあるコネクタメーカーが見つかった!
情報収集を進めていたK氏は、あるとき日本の鉄道車両に、日本航空電子工業(JAE)のコネクタが採用されていることを知り、興味を持ちました。
「鉄道車両は耐用年数が長く、不具合の際には直ちに対応する必要があります。使用されるコネクタは、高い信頼性を確保している事が重要です。鉄道車両向けのコネクタは、産業用機械向けと同様の条件を持っているのです。」
早速問い合わせて話を聞いてみたところ、JAEはUSB Type-Cコネクタの規格策定に参画したメーカーであり、USB Type-Cコネクタの開発・製造に対しても、事業として注力していることを知ります。鉄道車両に採用されていることから予想した通り、産機市場でのビジネス経験も豊富である事が分かり、満足いく品質管理、サポート体制も整っているため、長期的に頼れるメーカーだということが確認できました。
製造に関しては、コネクタの構成部品から、製品の組み立てまで自社工場で行っており、供給面も安心できました。 また、製品バリエーションも非常に多いことから、今回のコントローラの使用条件に合致したコネクタを選定できる可能性を強く感じ、まずは試作に採用することにしました。
試作は順調で、規格策定に参画したメーカーでなければ得られない知見から、使用上の注意点などのアドバイスをもらうことができ、K氏はJAEの信頼性を確信します。
最終的に出来上がった試作品は、納得のいく仕上がりとなり、品質面で高評価を得ることができました。JAEであれば安心して長期にわたり付き合っていけると判断したQ社は、量産での採用に向けて話を進めています。
USB Type-C® ソリューション
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※USB4™, USB Type-C®とUSB-C®は、USB-IF(USB Implementers Forum, Inc.)の商標です。