環境報告書2019

環境リスクマネジメント

航空電子グループでは、外部及び内部の課題、環境影響、業務に関連する環境法令などから重要な環境リスクを洗い出し、取り組みの計画を策定し対応を進めています。

緊急事態への対応

 環境に著しい影響を与えるリスクが大きい業務に対しては、それぞれの業務に対応した緊急時対応手順を定め、手順のテスト・訓練を実施し、手順の有効性を確認しています。
【緊急事態対応手順を定めているリスクの一例】
燃料のタンクローリーから燃料タンクへの移送(ホースはずれによる流出等)
廃ガス洗浄装置(スクラバー)の運転(異常による大気汚染物質の排出)
めっき工程における有害物質の使用(床面、ピット等への漏洩)
貯蔵タンクにおける有害物質の貯蔵(破損による漏洩・流出)
冷凍機・空調機からの冷媒フロン類の漏出

土壌・地下水汚染の防止

 工場跡地の再開発等や自主的な調査を契機として、有害物質による土壌汚染や地下水汚染が発見されることが増えています。一度汚染してしまうと対策には多大な費用や時間が必要となるため、重大な問題としての認識が年々高まってきており、関係法令の整備が進められています。
 航空電子グループでは、有害物質を取扱う施設及び燃料油関連施設などのリスク評価を行い、地下の貯蔵設備や配管について二重化等の汚染防止対策を行ってきました。これまでの汚染の防止活動の幾つかをご紹介します。

2010年:有害物質を取扱う施設及び燃料油関連施設について、土壌への漏洩・浸透のリスク評価と地下配管の地上化を開始(JAE昭島事業所)。

2013年:環境関連設備の老朽化・耐用年数の調査を始め、有害物質貯蔵指定施設に付帯する配管の主要なバルブ等を適切な間隔で定期交換し、漏洩リスクの低減を進めています(JAE昭島事業所)。

2014年:リスクが高いと評価された有害物質及び燃料油関係の地下配管の地上化を完了。めっき工程で発生する排気の洗浄装置の更新並びに、排水洗浄処理塔の防液堤へ再コーティングを行いました(HAE)。

2015年:総合評価試験棟の建築のための旧工場解体に伴い、土壌調査を実施し汚染の無いことを確認しました(JAE昭島事業所第4工場跡地)。

2018年:酸・アリカリ処理槽の地上化、ピット内水道管の更新等を行い、環境汚染の未然防止を図りました(HAE)。

 

燃料油の地下配管をU字溝内に設置(二重化)

地下タンクからの配管の一部が
地下埋設されていたものを地上化

排気の洗浄装置の更新

排水洗浄処理塔の防液堤へ再コーティング

なお、水質汚濁防止法においては、地下水汚染の未然防止のため有害物質を使用する施設の構造基準や定期点検義務が定められています。航空電子グループにおけるこれまでの定期点検では、汚染に繋がる重大な損傷等は発見されていません。軽微な損傷については発見され次第修理を行い、リスクの低減に努めています。

環境法規制の順守

 航空電子グループにおいては、環境関連法規制の中から常に順守状況を把握すべきものとして約70の法規制を登録しています。登録された法規制に対しては官報や地方自治体の公報等により改正状況を確認し、届出や報告の義務について定期的に順守状況調査を実施しています。
 2018年度においては、法規制登録様式および順守状況調査様式をグループ内で共通化し、また、グループ各サイトの法規制調査担当者を対象に法規制の知識向上を目的とした法令実践研修を開催する等、法令順守体制の強化を図りました。
・大気・水質の排出基準について自主基準値の設定
大気汚染防止法
水質汚濁防止法
下水道法
各地方自治体の条例
法令による基準値の約80%の数値を自主基準値として設定
有害性の高い排水監視項目のうち、シアン及び六価クロムについては自動連続測定装置による常時監視を行っています。(JAE昭島事業所)

・2018年度の違反等の状況
 2018年度において、排出ガス、排水、騒音・振動等の規制基準超過による行政からの要請・指導や環境に関する罰金、訴訟等はありませんでした。しかし、JAE昭島事業所において、下水排水のSS値の基準値(基準値300mg/L未満)、ノルマルヘキサン抽出物質量の基準値(基準値30mg/L以下)及びpH値の基準値(基準値5.7を超え8.7未満)を超える値が稀に観察されることがありました。原因は事業所内の生活系排水によるものと考え、状況について下水道管理者である昭島市に報告し対策を進めています。