環境報告書2019

素材及び資源利用の削減

素材利用の削減

 素材の投入量を抑制すると共に、製造段階での廃棄物を削減するための対策を継続的に展開しています。天然資源の使用削減や有効利用に加え、素材の製造から製品への加工に至るエネルギー使用の削減、地球温暖化ガス削減、並びにコストダウンに貢献しています。
 以下に各サイトにおける主な素材の有効利用に関わる取り組みについて紹介します。

●JAEにおける取り組み
 機械加工における素材使用量を削減するために、適正な寸法による購入を進めています。生産系においては金めっきにおける金素材の使用量を削減するために、適正めっき領域の管理やスピードアップなど効率的な改善を継続的に実施するとともに、生産設備のリユース部品活用を行い、資源の有効利用、材料及び設備投資費用の削減に貢献しています。

●HAEにおける取り組み
 プレス用金属材料の材料幅及び端子保護材削減による素材使用量の削減、成形品を取り出した時に排出される不要なスプルー・ランナー(※マウスを置いて定義をご覧ください) の縮小化、金型設計におけるゲート(※マウスを置いて定義をご覧ください) の数・形状・配置の改善、及びコールドランナーからホットランナー化などを行うことで成形材料を削減、再生材利用による新規購入投入材料の削減を継続的に進めており廃棄物の削減にも寄与しています。又、金めっきにおける金素材の使用量を削減するために、適正めっき領域の管理やスピードアップなど効率的な改善を継続的に実施しコスドダウンに大きく貢献しています。

●YAEにおける取り組み
 プレス用金型の小型化、金属材料の材料幅の見直しにより素材使用量を削減する施策を継続的に進めています。また、成形材料の再生材利用比率の向上や生産端材のクローズドループリサイクルによる投入材料の削減及びスプルー・ランナーの小型化による素材使用量の削減によりCO2削減にも大きな成果が現れています。

●FAEにおける取り組み
 金型部品製造工程(放電加工)で使用する銅合金の電極材の再使用率向上並びに切削加工法への切換え推進により、使用量削減、電力削減ならびに金属廃棄物の削減に寄与しています。また、プレート材の切断を専用加工機で行うことで、研磨しろが縮小され素材有効活用として成果が現れています。

●SAEにおける取り組み
 機械加工部品の内製化推進と併せて切削加工しろ縮小の取り組みを継続することで、金属廃棄物削減、素材製造時のCO2発生量抑制に寄与しています。

水資源利用の削減

日本は水の豊かな国のように見えますが、世界最大の仮想水(※マウスを置いて定義をご覧ください)の輸入国であるとも言われています。世界に目を向けると爆発的な人口増加や干ばつなどの異常気象により、人が一日に必要とする水の10分の1も得ることのできない人たちが数多くいます。

 近年では地球温暖化と同様に、国連が2015年に掲げた「持続可能な開発目標(SDGs)」などを始めグローバルな課題として「持続的な水資源使用に関する取組み」が求められおり、2015年の環境報告より私たちの水資源への取組みの様子を継続して報告しています。
2015年:節水による水投入量の売上原単位の改善推移
2016年:JAEにおける水資源の循環収支の見える化
2017年:CDPに照らした航空電子グループにおける水リスク評価(WRI Aqueductを使用)、並びにSDGsに照らした水資源管理目標とPDCAサイクル
2018年:サプライチェーンの水データ調査。 水の「消費量」の把握。

ここでは水利用量の削減例、並びに新たな取組みの状況と課題を報告します。

●水利用量の削減例
 国内・海外の航空電子グループで活動してきている水資源の保全に係る森林保護、河川・海岸清掃などの他、水利用量の削減例の幾つかを紹介します。(括弧)は生産拠点の略称です。
  • 生産系における節水例:コネクタ製品のめっきラインにおける水のリサイクル(JAE、HAE、JAE OR)、洗浄ライン毎の水利用のONOFF制御並びに蒸発防止用カバーの設置(JAE OR)、機械設備でのリサイクル(JAE TW)、洗浄用水を多量に使う工程の使用者の限定とキー付蛇口による専用化(JAE WJ)、
  • 生活系における節水例:空調用冷却塔の使用水量調整及び排水リサイクル、トイレ用水の雨水利用(JAE PH)、トイレ用水のクーリングタワードレン水利用(JAE PH)、生活用上水管の埋設配管から地上化による水漏れ早期発見・修理及び貴重資源の意識化(JAE PH)
    蛇口からの吐出水量の調整(JAE WX)
  • 2018年度の増加を除き、国内・海外の水投入量の原単位は、水資源利用量の削減活動の中で、特に海外生産拠点での活動が近年の低減効果を発揮している状況です。(グラフは水の投入量を売上原単位にて示しています)。

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●サプライチェーン展開
 ライフサイクルにおける水資源の有効利用を図る目的で、2017年より航空電子グループの資材調達に係るサプライチェーン全体の水使用量の把握を開始しました。
 昨年の環境報告に引き続き、次の二通りの方法により使用量を把握しました。本年は、対象を「一次仕入れ先様」に絞り込んで集計した結果、二つの調査方法においてほぼ同様な結果を得ることができました。サプライチェーン全体のデータ精度を向上するとともに、貴重な資源の一つである水の認識向上のために、今後も継続した調査を計画しています。
調査方法と結果概要(対象:一次仕入れ先様)
1:グリーン調達の推進活動における「環境品質確認」の一環として、水使用量についてチェックシートに盛り込み実態調査した結果、年間使用量3,795千m3
2:東京都市大学が公開している「ウォーターフットプリント」データベースを利用した推計の結果、年間使用量3,126千m3

●水「消費量」の調査
 水利用量の更なる削減施策を検討する中で、事業所内の水の循環サイクルにおける「消費量」を調査しています。生産用機器や空調用機器からの蒸発量、社内厚生施設での飲食等による取込み量、緑地等の水遣り量、その他設備からの蒸発量などの内、空調用冷却塔からの蒸発量において推計値とメータ読取り値に差異のあることが分かっています。
 本年はメータを増設し確認した結果、昨年よりも差異が縮まり3倍~4倍の差異となりました(昨年の報告段階での差異状況:2倍~8倍)。
 空調用機器は水使用量削減の施策効果が大きいものの一つであり、効果的な施策のためにできる限りメータを設置して蒸発量の把握を図ります。