環境報告書2010

化学物質の管理・PRTR情報

化学物質のリスク管理として、法定の管理責任者や資格保有者を部門や年齢を考慮して適正に配置しています。
2009年度は「化学物質の削減」を環境管理計画の実施テーマに取り上げ、化学物質による環境負荷低減の推進に力を入れました。 

化学物質の管理

 社内の事前評価制度である「安全環境審査」では、新規の化学物質や設備の導入、工事、廃棄物の排出などについて審査しています。化学物質の使用に関しては、運搬や保管、取り扱い、廃棄、その他の必要な情報を記入した自社様式の「化学物質安全管理表」を作成し審査を実施します。特に新規の化学物質についてはこの審査に合格しないと購入することもできません。新規化学物質の事前評価フロ-を以下に示します。
 2009年度の化学物質の登録状況は次表の通りです。研究開発や工程の改善のため多くの化学物質を審査登録しています。並行して不要な化学物質の見直しをしていますが、近年、全体数が増加していますので、引き続き不要な化学物質の削減を積極的に推進していきます。

■日本航空電子工業・昭島事業所
  2007 2008 2009
登録数 2,093 2,217 2,249
登録廃止数 128 48 52
新規登録数 172 172 84
化学物質品種数 1,664 1,733 1,753
*登録数は用途ごとに登録するため品種数より多くなっています。

■新規化学物質事前評価フロ-

化学物質の削減

 2009年度は、環境負荷を低減していくために、生産拠点毎に対象物質を選定し、化学物質使用量の10%削減を目指して活動してきました。2009年度の化学物質削減活動の主な事例は、以下の通りです。
 
  • 洗浄方法変更による溶剤使用量の削減(SAE)
        2008年度に使用実績が多かった化学物質の中から、製品性能の確保のため工程条件を変更できない物を除いて削減検討し、使用量で2番目、購入費用で1番目に多い溶剤の削減施策を実施しました。
        活動の成果として、2009年度は当該溶剤について従来の使用量の18%相当、約140kgを削減することができました。今後は他の部品洗浄についても同様の変更が可能かを検証し、各種VOC(揮発性有機溶剤)の使用削減に努めてまいります。

PRTR情報

 PRTR対象物質取扱量の推移を表に示します。数値は国内生産会社5社の合計値であり、★印はPRTR届出の対象となった生産拠点の数に対応しています。RoHS指令への対応で六価クロムと鉛関係は年々削減して参りました。2006年度では、一定の状況に落ち着きましたが、RoHS対象外の用途では、お客さまのご要求に応じて使用の可否を判断しており、2007、2008年度の鉛の増加はこの影響が現れたものといえます。
 コネクタの成形材料には難燃性のために三酸化アンチモンを含有するものがあり、2009年度からアンチモン及びその化合物が減少しています。これは三酸化アンチモンを含有する樹脂の変更によるものです。PRTR対象物質への対応として廃棄量削減も重要ですので、リサイクルを推進することで対応していますが、表に示しましたとおりPRTR対象物質及び取扱量も少ない状況にあると認識しています。また、積極的に電子届出を利用しています。

■PRTR対象物質取扱量推移    単位:トン
年度 2006 2007 2008 2009
アンチモン及びその化合物 ★★3.5 ★★11.2 ★★19.9 ★★4.9
シアン ★2.6 ★2.7 ★2.1 ★1.8
六価クロム化合物 0.17 0.16 0.14 0.15
ニッケル ★6.8 ★7.7 ★5.8 ★6.0
ニッケル化合物 ★★2.8 ★2.7 ★1.9 ★2.5
ふっ化水素及びその水溶性塩 ★★4.2 ★★5.2 ★★4.6 ★3.4
鉛及びその化合物 0.11 0.21 0.30 0.10
★:PRTR報告対象(複数事業所が対象となる場合は該当数を表示)
 

VOC情報

    JAEでは、VOC関係物質の大気排出量について年々削減して参りました。削減率については、2008年度で-31.0%と政府の目標である2010年度の-30%に対して余裕がありませんでしたが、2009年度では、-50%となりました。その要因として生産減の影響もあると考えられ、今後の傾向に注意していき、VOC関係物質の削減に向けて、目標を達成するために削減活動を継続していきます。