環境報告書2022
素材及び資源利用の削減

素材利用の削減
素材の投入量を抑制すると共に、製造段階での廃棄物を削減するための対策を継続的に展開しています。天然資源の使用削減や有効利用に加え、素材の製造から製品への加工に至るエネルギー使用の削減、地球温暖化ガス削減、並びにコストダウンに貢献しています。以下に各サイトにおける主な素材の有効利用に関わる取り組みについて紹介します。
●JAEにおける取り組み
機械加工における素材使用量を削減するために、適正な寸法による購入を進めています。生産系においては金めっきにおける金素材の使用量を削減するために、適正めっき領域や厚さの管理やスピードアップなど効率的な改善を継続的に実施するとともに、生産設備のリユース部品活用を行い、資源の有効利用、材料及び設備投資費用の削減に貢献しています。
●HAEにおける取り組み
プレス用金属材料の材料幅及び端子保護材削減による素材使用量の削減、成形品を取り出した時に排出される不要なスプルー・ランナー(※マウスを置いて定義をご覧ください) の縮小化、金型設計におけるゲート(※マウスを置いて定義をご覧ください) の数・形状・配置の改善、ホットランナー化、及びスプルー・ランナーの粉砕機の使用などを行うことで成形材料を削減、再生材利用による新規購入投入材料の削減及び有価物対象材料の見直し等による有価率の向上を継続的に進めており廃棄物の削減にも寄与しています。
金めっきにおける金素材の使用量を削減するために、適正めっき領域や厚さの管理やスピードアップなど効率的な改善を継続的に実施しコスドダウンに大きく貢献しています。また、めっき装置で使用する治具や設定条件の見直しにより、送り速度アップ、稼働電力の削減にも繋がっています。
●YAEにおける取り組み
プレス用金型の小型化、金属材料の材料幅の見直し、材料歩留まりの調査やめっきへ投入する最小巻き数の検証・設定、キーサンプル異常の早期発見により投入する素材使用量を削減する施策を継続的に進めています。また、成形材料の再生材利用比率の向上や生産端材のクローズドループリサイクルによる投入材料の削減及びスプルー・ランナーの小型化による素材使用量の削減によりCO2削減にも大きな成果が現れています。
●FAEにおける取り組み
金型部品製造工程(放電加工)で使用する銅合金の電極材の再使用率向上並びに切削加工法への切換え推進により、使用量削減、電力削減ならびに金属廃棄物の削減に寄与しています。また、プレート材の切断を専用加工機で行うことで、研磨しろが縮小され素材有効活用として成果が現れています。
●SAEにおける取り組み
機械加工部品の切削加工しろ縮小の取り組みを継続することで、金属廃棄物削減、素材製造時のCO2発生量抑制に寄与しています。
水資源利用の削減


日本は水の豊かな国のように見えますが、世界最大の仮想水(※マウスを置いて定義をご覧ください)の輸入国であるとも言われています。世界に目を向けると爆発的な人口増加や干ばつなどの異常気象により、人が一日に必要とする水の10分の1も得ることのできない人たちが数多くいます。
国連が2015年に掲げた「持続可能な開発目標(SDGs)」などを始めグローバルな課題として「持続的な水資源使用に関する取組み」が求められおり、多量の水を利用するめっきラインを持つメーカーの責務として、2015年の環境報告より私たちの水資源への取組みの様子を継続して報告しています。
2015年:節水による水投入量の売上原単位の改善推移
2016年:JAEにおける水資源の循環収支の見える化
2017年:CDPに照らした航空電子グループにおける水リスク評価(WRI Aqueductを使用)、並びにSDGsに照らした水資源管理目標とPDCAサイクル
2018年から:サプライチェーンの水データ調査。 水の「消費量」の把握。
ここでは水利用量の削減例、並びに新たな取組みの状況と課題を報告します。
●水利用量の削減例
国内・海外の航空電子グループで活動してきている水資源の保全に係る森林保護、河川・海岸清掃などの他、水利用量の削減例の幾つかを紹介します。(括弧)は生産拠点の略称です。
- 生産系における節水例:コネクタ製品のめっきラインにおける水のリサイクル(JAE、HAE、JAE OR、JAE TW)、洗浄ライン毎の水利用のONOFF制御並びに蒸発防止用カバーの設置(JAE OR)、めっきラインの薬液洗浄用水を流水からミストブローに変更(HAE)、冷却チラー用純水の循環使用(HAE)、機械設備でのリサイクル(JAE TW)、洗浄用水を多量に使う工程の使用者の限定とキー付蛇口による専用化(JAE WJ)
- 生活系における節水例:空調用冷却塔の使用水量調整及び排水リサイクル、トイレ用水の雨水利用(JAE PH)、トイレ用水のクーリングタワードレン水利用(JAE PH)、生活用上水管の埋設配管から地上化による水漏れ早期発見・修理(JAE PH)、レストルームでの水節約のラベルによる節水啓発(JAE PH、JAE WX)、蛇口からの吐出水量の調整(JAE WX) 、クーリングタワーに用水監視用メーターの設置(JAE WX)、節水啓発の強化及び節水センサーの採用(JAE WJ)
●サプライチェーン展開
ライフサイクルにおける水資源の有効利用を図る目的で、2017年より航空電子グループの資材調達に係るサプライチェーン全体の水使用量の把握を開始しました。
昨年の環境報告に引き続き、次の二通りの方法により使用量を把握しました。昨年から対象を「一次取引先様」に絞り込んで集計した結果、二つの調査方法においてほぼ同様な結果を得ることができ、めっき鋼材の調達に係る水使用量がサプライチェーン全体の大部分を占めることが分かりました。水使用量の集計値には次の要因に起因する推計誤差があるものの、サプライチェーン全体のデータ精度を向上するとともに、貴重な資源の一つである水の認識向上のために、今後も継続した調査を計画しています。
- 調達額による案分
- 産業連関表の複数部門に跨る取引先様の原単位選択
- 「ウォーターフットプリント」データベースにおけるめっき関連事業者向けの水使用係数の種類が限定されていることによる実態との相違
調査方法と2021年度結果概要(対象:一次取引先様)
1:グリーン調達の推進活動における「環境品質確認」の一環として、水使用量についてチェックシートに盛り込み実態調査した結果、年間使用量1068千m3。
2:東京都市大学が公開している「ウォーターフットプリント」データベースを利用した推計の結果、年間使用量1050千m3。
●水「消費量」の調査
水利用量の更なる削減施策を検討する中で、事業所内の水の循環サイクルにおける「消費量」を調査しています。生産用機器や空調用機器からの蒸発量、社内厚生施設での飲食等による取込み量、緑地等の水遣り量、その他設備からの蒸発量などの内、特に空調用冷却塔からの蒸発量において推計値とメータ読取り値に差異のあることが分かっています。
昨年に引き続き補給水量を確認した結果、差異は5.1倍となりました。年毎の気象条件によって4~7倍程度の差が発生すると見られますが、ここ4年間の消費量の投入量に対する割合はそれほど大きな変動はなく、概ね13%となります。
ここ4年間の国内グループにおける消費量の年間推計値と、2021年度の内訳をご紹介します。
空調用機器は水使用量削減の施策効果が大きいものの一つであり、効果的な施策のためにできる限りメータを設置して、今後も蒸発量の把握を図ります。
年度 | 消費量 | 蒸発推計値/実測値(※) | 消費量/投入量 |
2018 | 46,269 m3 | 4.4 | 14.1 % |
2019 | 38,894 m3 | 6.5 | 13.3 % |
2020 | 40,916 m3 | 5.3 | 12.8 % |
2021 | 42,970 m3 | 5.1 | 12.6 % |
冷却/生産による蒸発 | 93% | (※)実測可能な空調用冷却塔における比較の結果 | |
飲水や食事への取込み | 3% | ||
植物への水遣り | 0.5% | ||
貯水施設からの蒸発 | 0.3% |
●航空電子グループの森の貢献
航空電子グループの森でのヒノキや広葉樹の植樹等により、地下水の涵養量は年間約5,320m2と推計しています。
サステナビリティ経営に向けて
環境報告2022発行に際して
環境経営のシンボル
報告範囲と編集方針
環境活動の実績
環境マネジメント
社会との関わり
環境負荷低減の取組み