環境報告書2018

持続可能な社会の形成に向けて 社長 小野原 勉

環境経営について

 私たちを取り巻く情勢は、異常気象や自然災害が引き起こす生命に関わる地球規模の環境問題が大量破壊兵器やサイバー攻撃の増大などと並び、世界の共通的な課題として捉えられています。政治、経済の目まぐるしい変化とともに、大雨、熱波、豪雪など異常気象とそれらに伴う洪水、農作物の被害といった生態系破壊が毎日のように報じられています。
 このような喫緊の課題に力強く対応するために掲げられた「持続可能な開発目標(SDGs)」や「パリ協定」など、世界的動向に歩調を合わせた活動の必要性を改めて認識するところです。
 私たち航空電子グループは地球環境に恩恵を受ける一企業市民として当事者意識を持ち、企業活動で発生する環境への負荷を低減し、お客様の環境関連ビジネスに貢献する商品をスピードを持ってお届けすることにより、安全・安心かつ豊かで持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいます。

社長 小野原 勉

環境活動への取組について

 航空電子グループの社会的責任(CSR)の中で環境活動は、法令を順守し、企業活動から生じる環境への影響を十分に認識の上、絶対に公害を出さないという基本的な取り組みはもとより、地球温暖化対策や生物多様性の保全など自然界全体の環境課題を解決していくことを、航空電子グループの環境方針に明確にして活動しています。
 環境と密接に関わる社会的課題のひとつ「持続的な水資源管理」について、2015年に国連の持続可能な開発目標(SDGs)のゴール6「安全な水とトイレをみんなに」が掲げられ、世界的に取り組みが進められています。私たち航空電子グループは2004年、水源林を守る企業支援の森づくりの分収造林事業にいち早く参画し、東京都奥多摩町の裸山を森林に育て、環境経営のシンボル「航空電子グループの森」として今日に至っています。また、昭島事業所に設けた雨水浸透槽は、大雨による近隣道路の冠水防止や地下水の涵養など防災と環境の両面の水資源管理に貢献しています。
 地球温暖化対策では使用比率の大きな生産系エネルギーに着目し、設備の断熱、圧縮空気の漏れ対策を始めとして、新設工場のみならず既設工場における効率的な空調設備への更新やLED照明への置き換え、ものづくり工程の効率化やモーダルシフト・共同集配など、生産から物流に至るエネルギーの有効利用に継続的に取り組んでいます。
 この他に、法規制の順守強化、グリーン調達、環境配慮型の製品設計、化学物質・素材及び廃棄物の削減など事業全般にわたって環境負荷の低減を推し進めています。

 トピックスとして、廃棄物の適正管理並びに化学物質などの安全環境審査についてお話ししたいと思います。廃棄物の適正管理では、処理の委託先様と排出事業者である私たちの情報共有と相互理解の活性化に焦点を当てました。処理施設の規模や能力、維持管理状況、再資源化の実績などはもとより委託先様の環境への取り組みなど、チェックリストを発展させたコミュニケーションツールによる共有情報は廃棄物の適正処理を堅実なものとし、新たな資源循環の展開に寄与しています。
 安全環境審査は原材料調達・設計・生産から使用・処分に至る製品ライフサイクルを通した各種の社内審査の中で、労働安全と環境に関わる審査を担っています。環境面では化学物質の漏洩・蒸発による土壌や大気汚染などに対する防止策、設備管理の妥当性、許認可の取得状況などを審査しており、これらの審査システムを電子化しました。守らなければならない対策や管理方法の横展開を促進し、環境への影響及び公害の未然防止をより確かなものにしています。

 このような私たち自身の企業活動における環境負荷の低減とともに、有害物質を含まず環境負荷の少ない製品を開発し、お客様の環境配慮製品に採用して頂くことで持続可能な社会の発展に貢献します。「航空電子グループの森」において毎年継続している森林保全の体験学習は活動基盤となる環境意識の醸成に役立っており、今後も環境経営のシンボルとして育んで行きたいと思います。
 航空電子グループは、環境に優しいものづくりを実践することで、企業活動と環境保護の両立を図ってまいります。

 今後とも皆様のご支援、ご理解をお願い申し上げます。

社長 小野原 勉